遺跡の概要
方保田東原遺跡は、熊本県北部の菊池川とその支流の方保田川に挟まれた台地上に広がる弥生時代後期から古墳時代前期(今から約1700~1900年前)に繁栄した大集落遺跡です。
これまでの調査の結果、幅8mの大溝をはじめとする多数の溝や100を超える住居跡、土器や鉄器を製作したと考えられる遺構が見つかっています。また、全国で唯一の石包丁形鉄器や、特殊な祭器である巴形銅器など数多くの青銅製品や鉄製品が出土しており、この遺跡の国力の強さがうかがい知れます。
このほか、山陰地方や近畿地方など西日本各地から持ち込まれた土器なども出土しており、交易でも繁栄していた集落であったことが分かってきました。これらの発見から、菊池川中流域の拠点的な集落であったと考えられています。
昭和60年2月19日、熊本県における弥生時代の重要な集落遺跡として国から史跡の指定を受け、さらに平成18年7月28日に追加指定を受けました。現在、約11haが指定範囲となっています。史跡の一部は芝生公園として整備されています。
現在のところ、発掘調査が行われた面積は、遺跡全体の5%にも達していません。今後の調査によって、皆さんをアッと言わせるような数々の発見が期待されます。